西陣ろおじ
京都市上京区浄福寺通一条下るに、美しく再生された京町家が二軒並んでいる。
一軒は、オーナーの東さん夫婦の住居で、もう一軒の京町家はアクセサリーショップとカフェ、奥の路地を挟んだ8軒の長屋は、野球のオリジナルミットの制作やアフリカのファブリックのアンテナショップなどユニークな工房・店舗と住居として賃貸されている。
路地は中庭となり、井戸や共同のトイレが整備され、各種のイベント会場としても利用が可能である。
いずれも大正期に建設され、再生される前の借家部分は10年以上も空き家となり屋根が落ちるなど老朽化が進んでいた。
全て合わせると200坪を超える敷地となることから、複数の不動産事業者から解体してマンション経営をすることを幾度も薦められるが、祖父の代から3代にわたって住み続けてきた東さんは、京町家に強い愛着があり悩んでおられた。
そんな時、たまたま知った京都市主催の京町家の相談会に出かけ、弊社と出会う。
後日、調査に行った弊社会長が、老朽化した長屋も含めて京町家の価値を高く評価し、再生を薦めたことで、京町家の再生計画は一気に前に進み始めた。
出会いから2~3か月で基本構想が固まり、現在のプランニングを前提として具体化を進めていった。大規模な改修であることから改修費用も大きな課題であった。
そんな中、弊社、から家賃前渡しの仕組みを提案し、これによって一気に事業が進むこととなった。弊社と20年間の定期借家契約を締結し、改修費の半額を20年間の家賃の一部として一括してお渡しして工事費に充当するというものである。残る家賃は月々のお支払いとして、ご自宅部分の改修費の返済に充当するというものである。
ご自宅は、外観は復元しつつ、内部は、水回りや居間はモダンな内装で、床暖房も入って暮らしやすくしつつ、座敷や庭は昔のまま再生され、東さんの京町家への愛着が十分に生かされている。賃貸部分の入居者の多くは初見で入居を決めておられ、地域のコミュニティの核となることを目指しておられる。
東さんご夫妻は現状に十分に満足され、今後もこの京町家と共に人生を送っていくことを楽しみにしておられる。